胃腸風邪
風邪による胃腸の不調の原因・関連性について
胃腸風邪と感染性胃腸炎は同じことで、ウイルスや細菌が胃腸に感染し、嘔吐、下痢、腹痛などの胃腸炎症状を来した状態のことです。
原因として、ウイルス性が圧倒的に多く、中でもロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス感染が多いのです。12月頃はノロウイルス、春はロタウイルスが多く、アデノウイルスは1年を通じて発症します。ロタウイルスは、6ヶ月〜2歳の子供に多く、高熱と水様便が特徴です。ノロウイルスは、強烈な嘔吐が突然起こることが特徴で、発熱は比較的軽度です。アデノウイルスは種類も多く症状も多彩です。
ウイルス性胃腸炎で迅速検査が可能なのは、ロタウイルス・ノロウイルス・アデノウイルスの3つで、ロタウイルスとアデノウイルスの検査は、保険診療で検査が可能です。ノロウイルスの迅速検査は3歳未満や65歳以上、感染した場合に重症化しやすい方は保険診療で検査可能ですが、その他では自費診療です。原因ウイルスは多種あり、基本的な治療方法は変わらないことから、検査を行わない医師も多いです。当院では検査は行いません。
胃腸の調子が悪くなる風邪になった際に気をつける点
家族内を含めて、感染を広げないことが重要です。感染性胃腸炎の感染力は非常に強く、嘔吐物や下痢便に触れると、簡単に口を経由して胃腸へ感染してしまいます。周囲の人は手洗いをしっかり行うことが重要です。また、共有のタオルを中止し、個別のタオルもしくは使い捨てペーパータオルを使用しましょう。アルコールによる手指の消毒もロタウイルス以外には有効です。そして、便器を含め、便座、レバー、ドアノブ、蛇口を清潔に保つことも大切です。
細菌性胃腸炎では、激しい下痢、腹痛、血便、高熱を伴い重症化することがあるので、その場合は医療機関へ受診してください。
胃腸炎になった際の食事
消化・吸収の能力が低下しているので、摂取量を控え、十分に火を通した料理を摂取してください。脂分を控える為に肉の脂肪や皮は取り除く、細かく切る、柔らかく煮込む、薄味にするなどの工夫をしてください。
食材としては、脂の多い魚、ごぼう、タケノコ、とうもろこし、ゼンマイ、きのこ、こんにゃく、ひじき、柿、梨、パインなどは避け、大根、かぶ、キャベツ、レタス、かぼちゃ、葉っぱものの柔らかい部分、ブロッコリー、りんご、バナナ、イチゴ、桃などが良いとされています。
胃腸風邪の際に処方される薬について
感染性胃腸炎は自然治癒傾向が強いこと、頻度の高いウイルス性胃腸炎では抗生物質が無効であることなどから、治療の原則は対症療法です。脱水症状がひどく、経口摂取が難しい状態では点滴治療をすることがあります。その他、腹痛、下痢、発熱に対し鎮痙薬、止痢薬、解熱鎮痛薬などが処方されることがあります。
細菌性胃腸炎では、便培養で原因菌を特定し、感受性のある抗生物質を投与する場合もありますが、症状が軽微な場合は対処療法のみを行う場合も多いのです。
嘔吐や下痢で考えられる疾患について
ウイルス性では嘔吐が強く、細菌性では下痢が強い傾向です。
また、下痢はウイルス性では水様であることが多く、腸管出血性大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクターでは血便となることがあります。
胃腸風邪を予防するために
予防方法は、手洗いをしっかり行うこと。アルコールによる手指の消毒も、ロタウイルス以外には有効で、ロタウイルスでは石鹸で丁寧に手洗いするしかありません。それから、トイレを清潔に保つこと。便器を含め、便座、レバー、ドアノブ、蛇口を消毒するのです。